金太郎 むかしむかし、あしがら山に、金太郎という男の子がいました。金太郎の父親は坂田という名の武士でした。父親が戦で敵に殺されてしまったので、母親は金太郎を連れてあしがらやまの山奥へ逃げ込み、たいへん苦労をしながら、金太郎を育てました。金太郎は赤ん坊のときからいしうすを引きずってはいはいできるほど、とても力持ちです。そんな金太郎に母親はまさかりを与え、薪割などを手伝ってもらっています。   金太郎はあしがら山の動物たちととても仲がよく、毎日森でみんなと遊んでいます。ある日、金太郎は動物たちに「よーし!みんな、相撲を取ろう!」と誘いました。うさぎ、猿、鹿が次々に金太郎にかかってきましたが、誰もがすぐに金太郎に倒されてしまいました。するとなんと、金太郎がとても強いと聞いた山で一番体が大きい熊がやってきて、「おい!わしがお前の相手になろう。」と威勢よく言いました。「いいよ。おいら負けねえから!」と答えた金太郎に、熊は力いっぱいかかってきました。二人は激しくぶつかりましたが、「えいー!」という金太郎の叫び声と同時に、熊もついに投げ倒されました。金太郎の力に感心した熊は降参し、金太郎と動物たちの仲間になりました。   森の動物たちは金太郎のいい友達でもあり、いい先生でもあります。金太郎は猿から木登りの仕方を学び、鹿と競争するうちに山道も速く走れるようになりました。川にいる鯉と友達になってからは、泳ぎも上手になってきました。母親はどんどん成長していく金太郎の姿を見て、とても嬉しく思いました。彼女は父親のことを金太郎にいっぱい話して、「あんたも早く大きくなって、父上のような立派な武士になりなさいね。」と言いました。「はい、お母様!」と答えた金太郎は、ますます自分を鍛えるようになり、日に日にたくましくなっていきました。   それから数年後、ある春の日のことです。金太郎はいつものようにまさかりを担いで、熊に乗り、動物たちと一緒に歌いながら山道を歩いています。歩き続けていると、ある高い崖に出ました。崖はとても険しく渡れそうにないので、動物たちは前に進むことを断念し、引き返そうとしました。しかし、動物たちのがっかりした顔を見た金太郎は、突然崖の横にある大きい杉の木に両手をかけて、力いっぱい押し始めたのです。すると、杉の木はどすんと倒れて、対岸を結ぶ一本橋になりました。「わーい!これで向こうの森に行けるぞ!」と、動物たちが歓声を上げて喜んでいると、急に後ろのほうから、「なんて力の大きい子供だ!わしの家来にならないか?お前はきっといい武士になれるだろう。」と、男の声が聞こえてきたのです。   その男は、自分は「にまもとのよりみつ」という名の武将だと名乗りました。「おいら、武士になれるの?」と喜んだ金太郎は男を自分の家に案内しました。にまもとのよりみつから話を聞いた母親は、「どうかこの子を立派な武士に育ててください。お願いいたします。」と、涙を流しながら男に頼みました。   数日後、金太郎が京都へ出発する日、動物たちはみんな金太郎を見送るために家の前に来ました。「金太郎さん、元気でな!」そう話す動物たちに、金太郎は何度も何度も手を振りながら、山を降りていきました。   その後、金太郎は「さかたのきんとき」と名を改め、「よりみつ四天王」の一人に数えられる、とても偉い武士になったのです。   SOURCE: Live Interactive Japanese Magazine (互動日本語) NEW WORDS: 昔々 (mukashimukashi): long ago, once upon a time 武士 (bushi): warrior, samurai 戦 (ikusa): war, battle, fight 敵 (teki): opponent, rival 山奥 (yamaoku): deep in the mountains 逃げ込む (nigekomu): to take refuge