広兼健史の老活 「抜くと体に悪い」は本当か、私が毎日朝食をとらない理由 私たち老活世代は、「朝食は毎日しっかり食べる」という人が多いのではないでしょうか。 私も子供の頃は、寝坊して朝食を食べずに学校へ行こうとすると、「味噌汁だけでも飲んでいきなさい!」などと、よく母親に怒られたものです。朝食は、一日のパワーの源であり、食べないと健康によくないと思われていたのです。   ところが、私はもう何十年も朝食をとらない生活を続けています。それでも、毎日元気に過ごせていますので、さて、それは本当なのかどうなのか。 私が仕事を終えて眠りに就くのは、大体朝の四時から五時ぐらい。睡眠時間は短く、朝の九時か十時には目が覚めてしまいます。   普通ならその時間に朝食となるわけですが、私の場合、寝る前にワインを飲みながら必ず何かつまみを食べていますので、その時間にきっちり朝食をとってしまうと、胃の中にずっと食べ物が入った状態になってしまう。何となく胃もたれや胸焼けがしてスッキリしませんし、明らかにカロリーオーバーになります。ですので、一日の最初の食事は、だいたい昼の一時ぐらいにとると決めています。   最近では、「朝食は食べないほうが健康によい」という説も、よく聞きます。その根拠はさまざまですが、ひとつには「一日に三回も食事をとるのは多すぎる」ということ。例えば、朝七時に食事をして、昼食を十二時に食べるとすると、五時間の間隔が空きます。しかし、一般的に食べ物が胃の中で消化されるのには三~五時間かかると言われていますから、それだと常に胃の中に何かが入っている状態になってしまうわけです。   また、「一回の食事の消化には、フルマラソンを走るぐらいのエネルギーが必要」とも言われています。ですから朝食をとると、体が使うべきエネルギーの多くを消化に費やすことになってしまう。時々、「今日は朝から腹いっぱい食べてしまって体が重い」などと愚痴をこぼす人がいます。これでは、何のために朝食をとっているのか、わからなくなってしまいます。   思うに「朝食をきちんと食べる」という言い習わしは、「朝起きて三食とって夜に寝る」という一定の生活のリズムを作ることで健康に生きていこうという、昔の人の心がけから生まれたものなのではないでしょうか。   そういうふうに考えてみれば、私の生活も時間のズレがあるとはいえ、きちんとリズムができているわけですから、そこから大きく外れてはいません。食事の回数や時間も、パターンさえできあがれば、体がそれに順応していくはずです。   余生を楽しんでいる身である私としては、やはり世間の通説にならうより、「自分の好きなものを、好きな時に食べる」ことを優先していきたいと思います。食べたくもないのに、朝、無理やり何かを口にするのは、かえってストレスになってしまいますからね。 とはいえ、ストレスが減った分だけ体重が増えてしまっているのが、今は悩みの種なのですが。   SOURCE: Weekly Asahi Geinou (週刊アサヒ芸能) NEW WORDS: 抜く (nuku): to omit, to leave out 朝食 (choushoku): breakfast 世代 (sedai): generation 味噌汁 (misoshiru): miso soup 源 (minamoto): source, origin 睡眠 (suimin): sleep 摘み (tsumami): snack