黒い雨
赤い月が登る 平坦なビルの街に住む ジプシーが胸についたバッチをはがし取るように 金属片についた生まれついての番号は 下水に流してしまえば誰も知らない
ブラックホールに吸い込まれ 僕はこの世の始まりから終わりを一瞬で 眼球に焼き付けた ギリシャの神殿で石にされてしまいそうだったから もう嘘がつけなくなってしまったんだ
空が黒い 雨が降る
こんな宇宙の果てに取り残された孤独な神様 どんな世界を夢見ているの? 心臓に絡みつく血管の透けて見える所に 歌うクジラが泳ぐ眠たげに
海岸線にはいつも見張りの兵士たちの影が 放射状に広がってサーチライトを照らす 雫をあげて飛び跳ねる魚が光る闇の中で メリーゴーラウンドみたいに鮮やかな色で
空が黒い 雨が降る