無口でも愛される女性、避けられる女性の違いって? 好き嫌いの分岐点は、反応時のお表情と声にあった 「人と話すのはちょっと苦手で…」。そう感じている人は意外と多い。話し方教室などに通い、自ら苦手を克服しようと努力する人もいるほど、社会人にとって「会話力」は重要だ。けれど、職場を見渡すと口数は少ないものの誰からも愛される不思議な女性がいる一方で、口数が少ないがために避けられてしまう女性も。その違いはどこにあるのか。 「世間には口数が少なくても好かれる女性、逆に口数が少なくて避けられる女性が必ず存在します。わたしはそういった、言葉に頼らない、言葉表現が苦手な女性たちを「アンチ言語表現系女子」と命名し分類しています。人の第一印象は、顔の印象に6割左右されます。つまり話し方以前に、表情が相手に好かれるか否かの分かれ道なのです」と、自己表現を科学するパフォーマンス学の権威、佐藤綾子さん。 アンチ言語表現系の人の大半は、もともと「話をするのが得意ではない」「相手に合わせられるほどの知識がない」「気が小さい」など、文字にするとネガティブな特徴のある人が多いが、好かれる・嫌われるの分岐点は、話の聞き方にあるそう。「好かれるアンチ言語表現系女子は、自分は話すことが得意ではないからこそ、相手の話によく耳を傾ける。しかも豊かな表情で!」 人間は誰しも自分の言いたいことを伝えたいという「自己表現欲求」を持っている。これは、人間の欲求の中でも、最高次元の「自己表現欲求」の条件に当てはまる。だからこそ、話したいという欲求のなかで、自分の話に耳を傾け、絶妙な反応をしてくれた相手を「なんていい人なんだ!」と思う傾向があるのだ。 「傾聴力が高い、相手の話をよく聞く女性たちは、話が苦手だからこそ、自然と「相づち」や「うなずき」などの積極的傾聴技法を身につけています。会話は下手でも、表情や声による表現がとても上手。「わ~、すごい」とか、「それでどうなったんですか?」なんて、目をきらきら輝かせて相づちを打たれれば、自己表現欲求が満たされるのです」。 第一印象の「いい人」「馬が合いそう」などの感情は、こうした相手の表情や声の反応から生まれる。では、口数が少ないアンチ言葉表現系女子でも、なぜか避けられる女性の特徴はどうか。 「相手の話を聞いても自分をディスクロージャー(開示)しない人は、煙たがられますね」。 たとえば、初対面の相手に「…の出身です」と言われたとき、「そうですか」で終わるよりも、「わたしは…です」と、話題に合わせて自分を開示したほうが話は弾む。 「相手が自己開示しなければ、「わたしだけ開示するものでもない」と引かれます。口数が少なくて避けられるタイプの人は、自己開示せず、相手から情報を引き出す努力もしません。そういう人は「なぜか嫌われる人」になってしまうのです」。 アンチ言語表現系女子で嫌われるタイプは、相手の話を聞いていても、声が「小さい」「低い」、言葉が「短い」など、反応が薄い、感情を表情に出さない、目線を合わせないなど、全身で「わたしのそばに来ないでオーラ」を発する、他人との間にカーテンを下ろし、自己開示しない──人が当てはまるそう。 言語表現が苦手ならば、せめて相手の言葉に思いっきり表情や声で反応するようにしたいものだ。 SOURCE: PRESIDENT WOMAN (プレジデントウーマン) NEW WORDS: 無口 (mukuchi): reticence, taciturnity, silent person 好き嫌い (sukikirai): likes and dislikes, tastes 分岐点 (bunkiten): division point, parting of ways 反応 (hannou): reaction, response 克服 (kokufuku): conquest (of a
ハッカー天国の新時代 あらゆるものがネットにつながる世界で巧妙化するサイバー攻撃の被害はより致命的に えっと、ツイッターがつながらないぞ。アマゾンで買い物もできない。この世の終わりだ──アメリカ各地をそんな悪夢が襲ったのは昨年10月21日のこと。筆者はそのしばらく前に、サイバー攻撃の脅威に関する非公開の会合に招かれ、アメリカを代表する大企業の経営者たちと席を並べていた。 サイバー攻撃は何の前触れもなくやってくる。防ぎようがなく、しかも激しくなる一方だ。IBMのバージニア・ロメッティCEOも、サイバー犯罪はグローバル企業にとって最大の脅威だと認めている。 自動運転者や人口知能(AI)、デジタル通貨、仮想現実、人間の耳以上の音声認識──テクノロジーの驚異的な進歩が世界を変えつつある。あらゆるものにコンピューターが埋め込まれ、通信ネットワークに接続され、人と場所とメモがつながった巨大空間が出現している。 おかげでわたしたちの暮らしはより快適かつ安全に、そして豊かになるだろう。しかしテクノロジーにモラルはない。悪意のある人に乗っ取られたら大変だ。ネットに接続された最新式トイレハッキングされたら、水が逆流してくるかもしれない。 しかもハッキングは儲かる。破壊力が強ければ強いほど儲かる。そしてハッキングを完璧に防ぐ方法はない。みんな必死で研究しているが、絶対に侵入不可能な防護ソフトなど、この世に存在しない。 今のサイバー犯罪は勢いのある成長産業だ。注文に応じてハッキングのサービスを提供するビジネスもある。クレジットカードで料金を払って希望を伝えれば、あとは特殊なハッキングツールを設計し、お望みの標的を攻撃して顧客の恨みを晴らしてくれるという。 10月21日の大規模攻撃で狙われたのは、DNS(ドメインと名システム)大手プロバイダーのダイン。ハッカーが利用したのは「Mirai]という名のマルウエアだ。ネットに接続されたテレビやウェブカメラなど、セキュリティーの弱い無数のデバイスを遠隔操作で操り、ダインのサーバーを集中攻撃してアクセス不能に追い込んだ。結果、ダインのサーバーを利用している多くのウェブサイトが使えなくなった。 攻撃は午前7時10分に始まり、米東海岸の大半でペイパルやアマゾン、ニューヨーク・タイムズ、ツイッター、ネットフリックス、スポティファイなどのシステムが止った。さらに第二、第三の攻撃が続き、これらのサイトの大部分は午後遅くまで使えない状態になった。 その日の朝、筆者は友人に借りた金を返すためにペイパルにアクセスしようとしたが、空白のページが表示され、何かがおかしいと気付いた。ツイッターを開こうとしても、やはり何も表示されない。音楽でも聴こうと思ってスポティファイをクリックしたが、画面はフリーズし、クラウドサーバーから遮断された。こうして筆者は、自分がいかにネットに依存しているかを思い知らされた。 ダインへの攻撃で被害を受けた企業は莫大な損失を被ったに違いない。正確な数字は不明だが、イギリスの保険会社ロイズはサイバー攻撃が企業に与える被害額を年間4000億ドルと見積もっている。ちなみにこの数字には、顧客の信頼を失うことによる損失や、ハッカーから自社システムを守るための対策費は含まれていない。 ハッカーにとっては、こうした攻撃だけがサイバー犯罪活動ではない。14年にはヤフーが攻撃され、ユーザー5億人の氏名やパスワード、生年月日、その他の情報が盗まれる事件も起きた。個人情報を詐欺グループに売るのが目的だったと思われる。クレジットカード番号を盗むために大企業のシステムが狙われる事件も起きている。 北朝鮮やロシア、中国では、政府が自らハッキングに手を染めているようだ。昨年の米大統領選でヒラリー・クリントン陣営のコンピューターに侵入したハッカーも、ロシア政府系だったとされている。 ウィルス対策ソフトのマカフィーによれば、このところDNSへの攻撃が増えているのはインターネット全体を一気にシャットダウンする方法を探るため、外国のハッカー部隊がアメリカのインターネットの弱点をひそかに探っているからだ。 「彼らは今回の攻撃を分析し、さらに本格的な攻撃を仕掛けてくる」と、彼は本誌の取材に語っている。「とんでもない事態を覚悟しておくべきだ」。 最近の傾向で最も目立つのはランサムウェアによる攻撃の増加だ。ハッカーは企業などのシステムに侵入し、その膨大な量のデータファイルを勝手にロックして「人質」に取り、「身代金」を払わなければデータを破壊すると脅迫する。FBIは、昨年だけで10億ドル以上の身代金が奪われると予測した。 データの「誘拐」だけではない。インターネットにつながる装置や機械が増えるほど、ランサムウェアの危険は増す。 冒頭に述べた会合の際、大手レンタカー企業の幹部に対し、ある出席者がこう指摘した。あと5、6年もすればレンタカーの車両はすべてインターネットに接続されるだろうが、そうなれば全車両がハッカーに乗っ取られる可能性がある。高速道路を走行中の車も多いだろう。車を衝突させると脅かされたら、身代金を払うしかあるまい。 現にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、同社のインスリンポンプ(体に装着してインスリンを注入する携帯型機器)がハッキングされる可能性を認めている。またセント・ジュード・メディカル社のペースメーカーも脆弱だと指摘されている。 悪意のあるハッカーがかれらの機器に時限爆弾のようなソフトウェアを送り込めばどうなるか。患者たちを殺すと脅かして、金を要求するかもしれない。 もっと恐ろしいのは、AIがわたしたちに成り済ますことだ。AIボットはあなたの電子メールにもカレンダーにも、検索履歴にもフェイスブックにも音楽サービスにも入り込む。あなたについて十分に学び、あなたに成り切る。そして上司や母親にメールを送りつけたり、チャットを始めたりするかもしれない。 今までも、成り済まし犯罪はあった。だが、AIによる成り済ましはもっと恐ろしい。人格そのものが盗まれてしまうからだ。クレジットカードの番号とは訳が違う。人間関係を破壊されたら、わたしたちの受ける精神的な打撃は計り知れない。 結婚生活を壊されたくなければ金を払えと脅迫されるかもしれない。あるいは誰かに成り済まして、もっと大きなターゲットを狙うかもしれない。 鎖の中の最も弱い輪は人間だということは明白な理だ。コンピューターの周りにバリアーを張り巡らしても、ハッカーが誰かをだましてパスワードや認証コードを聞き出せば、開いたドアから楽々と入り込める。例えば、こんな調子だ。「ハイ、メアリー。昨夜は女子総合格闘技の試合に一緒に行けて楽しかったね!だけど飲みすぎて、いろんなことを忘れちゃった。核ミサイル発射の認証コードも。教えてくれる?」 これが現実になったら、全米の送電網がシャットダウンされるどころの騒ぎではなくなる。 もちろん、それで世界が破滅するわけではあるまい。原爆が発明されても人類の文明はまだ滅びていない。各国政府や企業は年間1500億ドルも投じてセキュリティーの強化とハッキングの予防に努めている。 IBMやマイクロソフトなどの大企業は、ダークトレースやジャンクスなどの新興企業も、侵入防止の新しい方法を模索している。AIにシステムの正常な状態を学習させ、少しでも異変を見つけたら直ちにシャットダウンさせる仕組みも考案させている。データを一ヵ所に集めず分散管理する方法もある。 今でも大企業や政府のシステムは一日に何百万回というハッキング攻撃を受けている。それでも大半は阻止され、あるいは限定的な被害で済んでいる。サイバー防衛の努力のたまものだ。 それでもハッカーたちは防衛の先を行く。昨年のダインの例で分かるように、彼らは最も脆弱な部分を見つけ出す。 データセンターをどんなに厳重に防御しても、彼らはネットにつながった無数の(そしてセキュリティーの脆弱な)デバイスを乗っ取って、物量作戦で攻撃をかけてくる。 警告。間違ってもトイレはネットにつながらないこと。 SOURCE: Newsweek日本版 NEW WORDS: 天国 (tengoku): paradise, heaven 巧妙
中国への警戒感強まり、米中経済関係は緊張化へ 米中間の経済摩擦が激しくなっている。米国は中国を念頭に鉄鋼やアルミ製品に高関税を課すと発表、中国に対し貿易赤字の解消を求めている。これに対し、中国は米国にハイテク製品の対中輸出の制限緩和などを求めている。中国や東アジアの通商関係に詳しい律上氏に聞いた。 五月中旬の米中協議の後、両国は共同声明を発表し、関係改善の姿勢を見せ始めました。 米国が中国に求めていた貿易赤字削減も農産物やエネルギーの輸入拡大が抽象的にうたわれただけで数値目標は入らず、米国も「関税引き上げは先送りする」としか言わない。これでは「妥結」とは呼べない。六月の米朝首脳会談の終了後には再燃しそうだ。 一方、中国にとって切実な課題だった大手スマートフォンメーカーZTEへの制裁だけは解除されることになった。中国が大幅に歩み寄ったとみられる。一連の協議から、習近平政権は米国と事を構えるのを避けたがっていることがわかる。中国国内には「弱腰外交」批判が伏在しているが、習氏への権力集中によって、今は表立って批判できない。 今年四月、米国当局はZTEが米国から違法な輸出をしていたとして米国企業にZTEとの取引を禁止しました。これにより部品が購入できないZTEは経営危機に陥りました。中国はこうした事態は想定外だったのですか。 中国には大きなショックだった。急所を突かれて、米国の力を再認識させられたと思う。 ただ、この制裁手段は副作用が強すぎる。ZTEが制裁されるのは自業自得だが、部品を納入していた日米韓台の企業まで取引途絶で「とばっちり」を受ける。これは株式市場が最も嫌う予測不能なリスクだ。こうした制裁が一般化すると、IT業種の株価にはリスクプレミアムが乗せられるようになるのではないか。 さらにいえば、中国は「対米依存」を嫌って半導体の国産化にこれまで以上に邁進するはずだ。これも自由貿易に対する打撃になる。IT分野は関税ゼロによってグローバルな供給網が発達し、安価で高性能な製品が普及した。だが、安全保障の比重が増してくると、今後は流れが逆転するだろう。 米国の対中認識に変化は? トランプ政権は貿易赤字を問題視するが、識者は無意味だと否定する。だがワシントンの政策エリートの間でも中国への警戒感は強まっている。中国の国家主導の産業政策の下、このままではEV(電気自動車)やAI(人口知能)で負けてしまうという危機感がある。米国内では中国の急激な台頭をスプートニクショック(1957年、ソ連が世界初の人口衛星を打ち上げ、西側に衝撃が走った)になぞらえ始めた。最近の、中国からのハイテク直接投資を否認する動きやZTEへの制裁も、トランプ氏自身がかかわって出てきたものではない。トランプ氏の方針はコロコロ変わるが、米国主流派の激しい中国観はそう簡単には変わらない。これからの米中経済関係は緊張を伴うものになるだろう。 SOURCE: Weekly Tokyo Keizai (週刊東洋経済) NEW WORDS: 警戒感 (keikaikan): sense of caution 強まる (tsuyomaru): to get strong 摩擦 (masatsu): friction, strife, conflict 念頭 (nentou): (on one’s) mind, heat 鉄鋼 (tekkou): iron and steel 課す (kasu): to levy,
1万6000台のIpadを導入、利用率はなんと100% 企業にとって全社にIpadを導入するのは保守コストも含めてかなりの負担。しかし成功させれば効果は絶大なのだ。 Iphoneと合わせて3万5000台フル活用 もともと教育に強かったアップルだったが、Ipadの登場以来再び教育関連に非常に力を入れていることはご理解いただけたと思う。というわけで、最後にひとつビジネスでの活用例をお届けしよう。お話を聞いたのは、Ipadをなんと1万6000台導入し、100パーセント活用しているという住宅メーカー大手の績水ハウスである。 績水ハウスといえば、販売戸数で日本一の住宅メーカー。もしかしたら、この記事を読んでおられる方のご自宅も績水ハウス製かもしれない。建築といえば、トラッドで現場主義な産業に思えるが、そこに1万6000台ものIpadを導入して、しかも活用率が高いというのは非常に興味深い。 導入がかいしされたのは2013年のこと。2月に営業用の4000台が導入され、5月にはアフターサービス部門用に1200台。8月には建築用に1600台。12月には設計用の1000台…となんと1年を経たずして1万台の導入に成功している。その後、関連会社、工事店などを含めて現在では合計1万6000台。Iphoneを合わせると3万5000台の導入に成功している。しかも、それが100パーセント機能しているというから驚きだ。 設定は完全に終わらせて紛失してもいい体制で 導入時に社長との打ち合わせで「全員が使い倒して効果を上げる」ということを確認したという。導入方針は「届いたらすぐに使える」「失くしても大丈夫なセキュリティにする」こと。 ごく簡単なことでも最初に「設定しなければならない」ということがあるだけで、使わない人が出てくる。だから導入業者と協力し、MDM(業務用の設定アプリ)を活用し、メールやパスワードなどの個人設定、アプリまですべて設定してから、導入した。また紛失に対応するために24時間対応のサービスデスクを導入し、データのリモート消去を可能にした。失くすことを恐れていては活用されないからだ。また紛失は夜間などである可能性も高く、24時間対応で情報の漏洩がないようにしないと意味がないと考えられたからだ。 専用アプリの迅速な開発が一番の要 Ipadの場合、各部署に活用してもらうためには、数多くの「専用アプリ」が必要だということになった。そのため、績水ハウス専用のアプリが大量に開発されている。 営業ならば、さまざまなモデルハウスの情報、素材や部品の情報を持ってのプレゼンテーション。設計では簡単な作図から承認作業も可能で意志決定をスピードアップ。建築では設計との図面のやりとり、職人さんとの確認に活用している。総務もこれまで帳票で打ち出していた資料を画面で確認できるようになったし、そもそも他の社員とのやりとりが容易になった。アフターサービスも顧客情報などの管理やレポートをIpad経由でできるようなアプリを使うようになった。また、共通して、在席確認、資料共有、社内の連絡ごと…などはIpadを経由して行うようになった。そして必要に応じて専用のアプリを素早く開発していったのだ。 Ipadアプリの開発ポイントは「スピード」と「使い勝手」を重視したという。全社で100人規模のSEがいる中、Ipad担当はわずか3人。しかし、それでも3人でデモ版、1週間でプロト、1ヵ月リリースするというスピード感を重視した。 その経験もあって、熊本の震災の際の顧客の住宅の被害状況の確認用アプリは、なんと発生翌日にリリースし、現地に配信したという。まずは配信して、日々修正・機能を追加することで対応するというスピード感があったからこそ実現できたフォローが数多くあったのだという。 震災のような場合はもちろん、日常の仕事でもIpadの機能性は大きく活きている。従来なら現場からデスクに戻って報告書の作成…という作業が必要だったの、今は現場で入力したことを本社ですぐに集計することができる。震災などの場合それにより重篤なエリアに重点的に人を配置するなど、即時に対応することができた。 績水ハウスでは全社で覚悟してIpadを使いこなしてきたからこそ、各部署で、「さらにこう使いたい」という要望が上ってきて、さらに効果を大きくしているという。 活用できている会社とそうでない会社の差は、これからさらに広がっていきそうだ。 SOURCE: flick! digital (フリックデジタル) NEW WORDS: 導入 (dounyuu): introduction, bringing in 保守 (hoshu): maintenance 負担 (futan): burden, load 絶大 (zetsudai): tremendous, immense 登場 (toujou): appearance 興味深い
星野リゾート星のや京都 「星のや京都」が建つ嵐山は、京都でも指折りの厳しい景観保護規制に守られる地区である。近年、世界に舞い降りた日本ブームのおかげで、もともと世界的知名度の高い観光地の京都は、より多くの観光客であふれている。特に嵐山は、趣のある環境や嵯峨野への散策にも便利とあり、群を抜く名所となっているのだ。 だが、賑わう渡月橋のたもとから星のや京都専用の舟に乗り、翡翠色に輝く大堰川をゆったりと15分ほどさかのぼれば、そこには神秘的で森閑とした静けさに囲まれる別世界が広がっている。途中、舟から斜め上方を見れば、嵐山の中腹には千光寺の屋根が見え、絵のような情景の中、川面に星のや京都の姿が見えはじめる。 すでに四季を通じて訪れている私は、その都度かぐわしい季節感に魅了された。華やぐ春の桜、黄金色の紅葉、雪化粧の冬、いずれも感動的である。だが私には、なぜか春から梅雨にかけての、初夏のみずみずしい新緑の時季が肌に合う。 はじめて訪れたのは2009年12月。開業準備の中で、170年続く「植彌加藤造園」の名庭師に、作業の手を止めてもらい話を聞いた。いまも心に残るのは、「自分がつくる庭は5年後、10年後を見据えている。真剣勝負の毎日だ」という言葉。 そして早くもその10年近くを経たいま、私は、古から自生していたかのような植栽の美しい庭を歩き、プロの技に感銘していた。 京都は1200年の都であり、はじまりは平安京に遷都した794年のこと。当時の公家や平安貴族たちは、極上の隠れ家としてこの嵐山を避暑や休暇の場に選び、こぞって別邸を建てたという歴史が残る。当該の地は、かつて豪商だった角倉了以の私邸(書庫)があった場所。明治30年には旅館が建てられ、星のや京都はその旅館を改装し、2009年12月12日、開業に至った。 開業当初からのコンセプトで宿泊と食事を分離する滞在型を提案し、グローバルな対応でデビューを飾った。記憶に新しいのは連泊を基本にして、利用者に「新しさ」や「連泊のすすめ」を提案したこと。斬新な試みはほかにもあり、宿へ到達するために渡月橋から専用の舟に乗り、誰もが川をさかのぼるという演出だ。昔の平安貴族のように、ゆったりと時を過ごすプロローグである。 宿に到着し舟を降り、川から坂を上って宿に案内される。改装された日本家屋は、外観や芸術的な技巧の施された内装を残し、伝統と革新を融合させた日本旅館となった。由緒正しき伝統技の施された室内にいると、優れた技術を施した先人たちの美意識の高さや職人技にただ言葉を失ってしまう。 特に際立つ芸術性は、室内の細工に見られる。鴨居や天井、欄干や襖など、残され保存された建築にも感謝したい。 また、一方で現代デザインを駆使したオリジナルの畳ソファの出現は斬新で、話題にもなった。さらに桂離宮や二条城など、国宝を手掛ける匠の本城武男氏の手による唐紙の壁紙は格式ある趣を漂わせ、手間のかかる技に魅了される。 当時の宿の主はきっと、妥協せず、京都の技の粋を極めた建築をつくりたかったのだ。気の遠くなる財を投じたのだろうことも想像に難しくない。前を流れる大堰川さえ、角倉了以が治水事業や江川開発に尽力した結果と知れば、富を築いただけでなく、偉大な社会貢献に寄与していた角倉の人間力も伝わってくる。 こうした歴史秘話をあまた宿す星のや京都の物語。だが実は「星のや」の背景に隠れた逸話は京都だけにはとどまらない。ぜひ、世界に広がる星のや6軒のホッピングツアーをおすすめしたい。それぞれの「地域に止る」意義や魅力を知ることで、星のや滞在は確実に何倍も楽しめる。 SOURCE: Discover Japan (ディスカバージャパン) NEW WORDS: 指折り (yubiori): leading, prominent 景観 (keikan): scenery 保護 (hogo): protection, guardianship 規制 (kisei): regulation, restriction 舞い降りる (maioriru): to swoop down upon 知名度 (chimeido): popularity 趣 (omomuki):
最強のリスニング学習法 英語を「聴く力」が効果的にアップする! はじめに シャドーイングとは、流れてくる音声をほぼ同時に、あるいは少しだけ遅れて、できるだけ正確に声を出していく練習です。先月号では、「音にフォーカス」するシャドーイングの練習方法とその効果についてご紹介しましたが、今月は一歩進めて、聴いた内容の「意味にフォーカス」するシャドーイング(コンテンツ・シャドーイング)の練習方法を紹介します。 「意味にフォーカス」するシャドーイング 「意味にフォーカス」するシャドーイング練習とは、音声の内容(コンテンツ)を頭の中でしっかりと理解しながら、シャドーイングしていくことです。前号の「音にフォーカス」するシャドーイング練習の際は、英語音声の聞き取りと、口頭での正確な再現にフォーカスし、オリジナルの音声を丁寧に繰り返し聴き、その特徴を捉えた上で、小声でシャドーイングしてみることをお勧めしました。この段階では、個々の発話を聞き取り、その音声の特徴をまねて、頭の中に英語の音を流れやイメージをしっかりと作り上げることが目標でした。 練習を通じて、音を正確に聞き取り、口頭で即座に再現することが容易になったら、今度は焦点を「音」から「意味」に移し、語句の意味を追うことと、全体の内容を正確に把握することを目指します。具体的には、テキストは見ずに耳だけを頼りに、語句の意味に意識を向けながらシャドーイングしてみます。すでに、ほとんどの方がこの段階に至るまでに、少なくとも数回は音声を聞き、テキストを見ているので、初めて音声を聞いたときに比べると、内容の理解度はかなり高くなっていると思います。しかし、それでも途中で不明の語句やフレーズなどがあった場合は、そのまま放置せずにテキストを確認し、できるだけ完全にシャドーイングができるようになるまで練習を行ってください。 最後に、耳から入ってくる語句の意味が難なく理解できるようになったら、今度は、テキスト全体の内容に意識を向けながらシャドーイングしてみます。練習では、あたかも自分が英語を話しているようなつもりで、スピーカーになりきって声に出します。今、どんな話をシャドーイングしているのか、話の内容を頭の中でイメージしながらシャドーイングができるようになることを目標としてください。 シャドーイングの効果 シャドーイングが、どのようなメカニズムによって、いかなる効果をもたらしているのか、実際にはまだ解明されていない点があり、その効果も個人によって異なります。ここでは一般的に研究者たちが指摘しているシャドーイングの効果の中から、「復唱力が向上する」、「スピードの速い音声についていけるようになる」という二つの点について述べます。 電話番号などは、単に耳で聴くだけよりも、その番号を声を出して復唱したほうが記憶に残りやすいものです。シャドーイング練習では聴いた英文を即、その場で声に出してリピートしますので、練習を重ねることによって、復唱力が向上し、英語の音が頭の中に残りやすくなると考えられています。たとえ聴いた英文の意味を一瞬では理解できなくても、頭の中で復唱できれば、自分がすでに持っている英語のデータベースと照合することが可能になります。その結果、意味の理解に結びつく可能性も高くなり、リスニング力が向上するのではと考えられています。 シャドーイングでは、耳から入ってくる言葉を頭の中で繰り返しながら声に出します。しかし、リピーティングのように自分のペースで発話するのではなく、音声の速さに従って発話しなければなりません。そのため、スピードの速い音声を利用して練習を重ねると、いやが応でも英語を物理的に速く発話せざるを得ません。その結果、聴いたことを頭の中で音声化するスピードも上がっていき、スピードの速い音声についていくだけの力が蓄えられていくのではと考えられています。 シャドーイング練習の進め方 シャドーイング練習では、現時点の自分の語学力に合わせて最適の練習メニューを作成し、実行に移すことが上達への早道です。次に挙げるのは、シャドーイング練習に際して利用されるタスクの例ですが、この順番に従って、すべてを行わなければダメだということではありません。自分にとって必要だと思われる項目を選び、練習回数や時間を設定した上で、着実に取り組んでください。 ・テキストを見て、未知の語句の意味を調べる ・音声を聴いてみる ・テキストを音読してみる ・シンクロ・リーディング=>音声に合わせてテキストを音読 ・音にフォーカスしながらシャドーイング=>音声の正確な再現を目指す ・意味にフォーカスしながらシャドーイング=>内容を正確に把握する ・音声の速度を上げてシャドーイング 練習する際の注意点 シャドーイング練習では、聞き取りながら声に出すわけですから、当然、音声と自分の声が重なって聞こえます。練習では、自分の意識を音声のほうに向けることが必要です。自分の声のほうに意識を向けてしまうと、どうしても音声が聞き取りにくくなってしまいます。練習に際しては、自分の声など外部からの侵入者をできるだけ遮断してくれるような性能の良いヘッドフォンを使用してください。ヘッドフォンから聞こえてくる音声が大きすぎても小さすぎても聞き取りにくいので、音量に注意しましょう。また練習中、自分の声が大きすぎても聞き取りの妨げになりますので、大声を張り上げて練習するのは避けたほうが良いでしょう。 フィードバック シャドーイングは技術をマスターしさえすれば、多くの人が一通りはできるようになります。しかし、シャドーイングがうまくできたのかどうかを確認するには、フィードバックを行う必要があります。一人で練習する場合は自分の声を録音し、テキストと照らし合わせて、ミスをチェックしていきます。音声面でチェックしておくべき点は、前回、詳しく紹介しましたので、今回はその他のチェック・ポイントを挙げておきます。参考にしてください。 ・無言のままになっている箇所はないか ・自分で何を言っているのか意味不明の箇所はないか ・毎回飛ばす語句はないか ・毎回言い間違えている語句はないか フィードバックを通して、自分の弱点をつかんだら、間違った箇所を繰り返し声に出して読み、部分的にシャドーイングした上で、全文のシャドーイングに再度チャレンジしてみてください。なお学習記録を取っておくと、学習の進歩状況がわかり、励みになると思います。 SOURCE: CNN ENGLISH EXPRESS (イングリッシュ・エクスプレス) NEW WORDS: 最強 (saikyou): strongest 学習法 (gakushuuhou): way of
韓国映画について一緒に話そう! 警察や刑事が絡むストーリーは多いですよね。実話がモチーフになっているものもあるし、完全にフィクションのものもあります。今回は、警察と犯罪組織、または犯罪者との関係を描いたサスペンス映画をご紹介します。時には、映画が作られたことによって、実際にあった事件の真実が明らかにされていったこともあったりします。スリルを味わったり、恐怖を感じる映画よりも、観客たちのハートを揺さぶる映画。そんな観点から今回の映画を選んでみました!実話でもフィクションでも、今回ご紹介した映画のような事件が実現では起こらないように祈ります。時効という制度がなくなればいいとも思います。犯人の立場から見れば、まるで隠れん坊をしてるような、そんな法律ではないでしょうか。 「殺人の追憶」(Memories of Murder) 実際にあった事件を基に映画化して大ヒットした作品です。1986年、キョンギドファンソグン付近で強姦され惨殺された若い女性の死体が発見されます。そして、二ヶ月後、似たような手口で再び強姦殺人事件が起こるのです。連続殺人という恐怖に支配されたこのエリアには特殊捜査本部が設置され、警察のたゆまない努力により犯人検挙に至るのですが、なんと証拠不十分で懲役2年6月に執行猶予3年の刑を受けただけ。2006年、公訴時効という法の前に事件はお蔵入りに…今でも犯人の手がかりは血液型がB型だということぐらいしかないそうです。映画ではフィクション部分をうまく融合して作られていますが、実話があまりにも悲惨でむごいので、このように作られたのではないかと思います。どんな国でもこのような犯罪がこれ以上起きないことを望みつつ、ここでこの映画をお勧めしようと思いました。 「新しい世界」(New World) チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェという韓国を代表する演技派俳優が共演しました。それだけ完成度も高く、公開後も長い間愛されている映画です。警察と犯罪組織、そしてその二つのうち、本人のアイデンティティを混同している誰か…とても残忍で悲惨な状況の中で、ファン・ジョンミンの演技がシーソーの真ん中でバランスを取る、そんな役割を担っています。「ブラザー」「トウルワー(入ってこない)など、強烈な場面からたくさんの流行語と名セリフを生み出した映画です。ご覧になるときには、緊張が笑いで緩和されるポイントをお見逃しなきよう!事前知識が邪魔になるような気がする映画ですので、この辺で止めておきましょう。 「殺人の告白」(Confession of Murder) 時効が明けた犯人が、世間の注目を集めようと公の場に姿を見せたら?そんな設定から作られた映画です。チョン・ジェヨンさん、パク・シフさんという二人の俳優の情熱が感じられる熱い映画。特に、パク・シフさんは、本作を通して彼にしか出せない底力を見せたといっても過言ではないと思います。努力に努力を重ねてつくり上げたキャラクターが素晴らしく、この作品を見れば誰もが彼のファンになってしまうのではないでしょうか。やる気に満ちた刑事と、自分が犯人だと名乗り出る男、どんでん返しに次ぐどんでん返し! これまでになかった破格のストーリーに、見終わってからもしばらく余韻が冷めない、そんな映画です。 「さまよう刃」(Broken) チョン・ジョヨンさんと、イソンミンさん、そして僕、ソ・ジュニョンも共演させていただいた映画です。撮影中もいろいろな思いが交差しました。本当に役にはまりこんでいる先輩俳優を見て、制作発表会で「この二人の間で演じるというのは、本当に獣と演技するかのようだった」と表現したことを覚えています。東野圭吾の同名小説を映画化した韓国版「さまよう刃」は、見ている間中、涙と悔しさであふれます。一瞬、犯人の味方をしてしまう人もいるかと思います。韓国人の感情で描いていますので、原作と一緒にご覧になるとまた面白いと思いますよ。 「あいつの声」(Voice of a Murderer) これも実話を基に作られた映画です。1991年1月29日、アックジョンで誘拐された9歳のイ・ヒョンオちゃんが44日後、漢江の排水路で冷たくなった姿で発見されました。何度も検挙に失敗する警察と、徹底した綿密に計画を立てた犯人。2006年に時効を迎えてしまいます。映画化するにはナイーブな素材ですが、俳優たちの素晴らしい演技で見事な映画になりました。映画公開後、残忍な事件のことを知った国民たちが、怒りの声を上げました。どこかで生きている犯人がこの映画を見て自首してくれたら…そんな思いがよぎる映画です。 「シークレット」(Secret) 2009年に公開した映画ですが、今また見ても10点満点中9点をつけられる映画です。しっかりしたストーリーに、チャ・スンウオン、ソン・ユナ、リュ・スンリョンという俳優たちのかっこいい演技が加わり、実際にこんな事件があるのではないだろうか?と思うようになるほど!犯罪組織、一介の麻薬犯、警察、そして、その警察を殺したい人間。これらの立場の違う人々が繰り出す葛藤は、ストーリーが進むにつれ、解き放たれていくように見えるのですが…振り出しに戻ったように見えても実はそうではなく、どんでん返しの後には、また最後のサプライズが待っているんです!ぜひ一度ご覧ください! SOURCE: Kanryuu Pia (韓流ぴあ) NEW WORDS: 絡む (karamu): to entangle, to be involved with 実話 (jitsuwa): true story 揺さぶる (yusaburu): to shake, to shock 観点
ジャック・マーの大逆転人生 創業20年目にして時価総額55兆円の巨大グループをつくり上げた男。 その男は、悲しきハンディキャップを背負ったがゆえのいじめ、流血騒ぎ、高校受験失敗、就職難など数多の壮絶な試練をくぐり抜けてきた。 これは、小さな巨人の大逆転の記録である。 ブラックスーツに身を包んだ職員に囲まれ、ヨレたジャージにスラックスという出で立ちの小男が、早稲田大学の校舎から歩いてきた。短めに刈った髪と、くしゃっとした笑顔が、遠目には子供のようだ。熱狂する人々が殺到する中、「黒服」にしっかりとガードされた彼は、スマートフォンのカメラを向ける一人ひとりに、笑顔で応えながら小さく手を振っていた。 彼こそが、時価総額55兆円。世界8位に君臨するIT帝国「アリババ」のトップ、ジャック・マーその人だ。 2014年9月、ジャック・マー率いるアリババがニューヨーク証券取引所に上場を果たし、2017年10月には、一時、時価総額4700億ドル、当時のレートで53兆円という数字を叩き出した。これは、ECの雄Amazonを超える数字だ。 2015年3月期のグループ全体の売上品は762億元。3年後の2018年3月期には、同じく2502億元となっている。実にここ3年間で、3倍以上の成長を遂げている。アリババが世界で注目を集めるのは、これほどの規模で、これだけの急成長を遂げたことにある。 ソフトバンク会長兼社長の孫正義氏から約20億円を渡されたとき、ITバブルに沸く中国にありながら、マー氏の会社は全く利益を上げていなかった。それから18年、マー氏の総資産は、孫氏のそれをゆえに超えている。 しかし、ジャック・マーという人物が、世界中の注目を集めるのは、アリババの創業者であることだけでなく、その人生が、多くの人に夢を与えたことにある。特に、「見た目の冴えない」人にとって、マー氏は憧れの的となっているという。 マー氏の生い立ちは、決して恵まれたものではなかった。1964年に、上海に近い杭州市で生まれたマー氏は、幼い頃を文化大革命(66~76年)の渦中で過ごした。祖父は、反革命分子と見なされており、路上で懲罰を受けることもしばしば。それが原因で、マー氏自身もいじめを経験している。 チビで不細工、ナイーブで自尊心が高かったというマー氏は、格好のいじめの対象だったそうだ。時には授業中に流血騒ぎを起こし、時には十数針を縫う大怪我をした。しかし、マー氏は、決してやられっぱなしにはならなかったと振り返る。「私はチビだったけど、喧嘩は得意だったよ」とマー氏。実際、やられたらやり返し、自ら折れることは絶対にしない。生傷の絶えない学校生活に、両親も愛想を尽かしていたそうだ。 喧嘩に明け暮れる荒んだ日々を送るマー氏は、当然というべきか、勉強で才能を発揮することもなかった。特に数字は壊滅的な有り様で、高校受験に失敗し、3流というのもはばかられるレベルの学校に通うことになった。「起業家には落ちこぼれが向いています。頭のいい人は、いい会社に入り、そこそこの仕事をする。でも、私のような落第生は、どこにも入れないので、自分でやるしかなかったわけです」 あるとき、仕事のなかったマー氏は、いとことともに、ホテルマンのアルバイトの面接を受けたそうだ。容姿端麗で背の高かったいとこは、ホテルマンの職を得たが、マー氏は「チビで不細工はホテルマンには向かない」との理由で不採用に。「自分は不細工だが、世界を変えた。人生に困難が待ち構えているからこそ、努力を重ね、大人物になったのだ」 勉強の苦手なマー氏だったが、小さな馬雲(本命:マー・ユン)を世界のジャック・マーにしたのは、意外にも幼い頃から取り組んでいたある学びだった。「勉強は嫌いだったが、唯一、英語だけは大得意。ただ、学んだのは学校ではなく、杭州にある西湖のほとり。そこに行けば外国人観光客がたくさんいたから、観光案内をしていたんだ」と中学時代のことをマー氏は教えてくれた。「日本の英語検定試験のようなものを受けても、私は合格しないでしょうね」と語るマー氏だが、その英語には淀みがない。 のちに、マー氏は杭州師範学院の英語科を卒業し、卒業生で唯一、大学講師としての職を得た。同時に、夜間の英語講座を開講し、多くの人に英語を教えてきたという。その甲斐あって、杭州では名の知られた英語教師となったマー氏は、中国政府からアメリカでの仕事を依頼される。マー氏は、そこでインターネットと出会ったそうだ。「カナダ人の友人の家で、初めてインターネットに触れて、”chinese”と検索したが、何も出てこなかった。このとき確信したよ。自分のやるべきことはこれだって」。帰国後すぐに、「中国黄百」を立ち上げたマー氏。それが1999年、アリババ誕生の瞬間だった。 アリババの急成長の裏には何があるのか。TS・チャイナ・リサーチ代表で、中国に詳しい経済アナリストの田代氏にうかがった。 田代氏は力強くこう言い放つ。「日本と中国ではお金に対する考え方が全く違う!日本人は、お金の話をしたがらないところがありますが、中国では、親族や友人同士の会話で、「いくら儲けた」「あれは儲かる」という話が大好きです。アリババを理解するには、中国人の国民性や政治・文化の特徴を知る必要があります」。田代氏によれば、「お金を少しもムダにしたくない」という中国人の心をアリババはガッチリと掴んだのだという。 アリババの展開するBとCショッピングモール「天猫(Tモール)は、今や、中国のAmazonと呼べる地位を確立している。また、CとCでは、同グループの「タオバオ」が市場を独占し、アメリカ最大手のオークションサイト「eBay」を退けた過去もある。 自身も「天猫ユーザー」と語る田代氏は、次のように分析する。 「天猫最大の特徴は、購入した商品が気に入らなければ返品できる点です。日本なら、よほどのことがなければ、返品する人は少ないですが、お金に対する感度の高い中国人は、少しでも気に入らないと返品・交換を要求します。このシステムによって、アリババのサービスは唯一無二の地位を築いたのです」。 マー氏も、中国進出を狙うeBayとの競争の中で、「eBayが海を泳ぐサメだとすると、私たちは揚子江にいるワニです。海で遭えば、負けるでしょう。ですが、川ならば、私たちの勝ちです」と語っている。つまり、中国という国を正確に理解し、その欲求に独自の答えを出したことが、アリババ躍進の原動力となったわけだ。 「アリババは、もはやインフラです。ECのなかった中国に、その文化を根付かせ、さらに、独自もモバイル決済サービス「Alipay」によって、アリババの運営するECサイト内の決済の仕組みを整えました」。 「Alipay」は、2004年にサービスを開始したが、その利用者は2017年時点で、実は5億人を突破。中国国内はもちろん、周辺のアジア諸国、さらにはヨーロッパにも広がりを見せている。そのモバイル決済サービスが持つ仕組みこそが、アリババを頂点に押し上げたのだと田代氏は話す。 一企業が巨大な決済サービスを展開するには、大きな障壁がありそうだが、「中国の柔軟性が発揮された」と田代氏。「中国では、まずやってみて、うまくいったら、それに合わせて国の制度を変えるという特徴があります。日本では、待ったをかけられそうなサービスでも、みんなが使い、経済的発展に寄与しているならと黙認され、ある一定の段階で、公に承認されます」。 実際に、Alipayの普及が進んだ頃、アリババは、しばらく無許可で銀行業務の認可を得て自前の株式制商業銀行で、ネット銀行である「網商銀行」を設立させている。野放しに成長させ、有用と見ればお墨付きを与えるというのが中国流のやり方だ。 中国におけるECを支配したアリババだが、次の動きもすでに始まっている。「投資企業として大きな動きをしています。自動物流、AI研究など多くの先進テクノロジーに投資しています。国内の決済サービスを握っているので、どんなサービスが当たろうが、その本流から外れることはないので、強気になれるのでしょう」と田代氏。 SOURCE: PRESIDENT (プレジデント) NEW WORDS: 逆転 (gyakuten): (sudden): change, turn around 時価 (jika): current value
アニメーションスタジオ・TRIGGERのクリエイティヴを支えるもの TRIGGERはスタジオとしてはまだ5年半ほどの歴史しかない、若いアニメスタジオだ。この特集ではこれまでの作品や、放送中の「リトルウイッチアカデミア」の制作などを通して、彼らの作り手としての魅力に迫っていく。その前に、なぜTRIGGERにクリエイティヴな魅力を感じるのか、その背景にあるものを考えてみたい。 TRIGGERの特徴の一つは、スタッフの半数以上が実力あるアニメーカーで構成された「絵描き」の集団であること。そして、日本のTVアニメで何十年もかけて発展してきたリミテッド・アニメーションの手法を現代的なアニメでも受け継ぎ、取り入れているということだ。 そもそもアニメーションとは、静止画を連続して撮影することで生み出される映像のこと。その中で、日本のアニメーションの一つの流れとして「あえて動くコマ数や要素を減らしても、豊かに動いて見えるように描く」ことや、「視覚的な緩急をつけることでダイナミックに見せる」という手法が発展してきた。 分かりやすい例を一つ挙げるならば、TRIGGERのTVシリーズ第1作目「キルラキル」で大胆に用いられている、パンニングと組み合わせたハーモニー(作画に背景美術を重ねる絵画的な止め絵の手法)などは、往年のアニメファンならば「あしたのジョー2」や「ベルサイユのばら」などを思い出す人もいるだろう。滑らかなアクションからハーモニーに移ることで、強いインパクトを残るシーンになる。 映像の中でいかにアニメならではの省略や演出、グラフィカルな挑戦ができるか。そうした要素が盛り込まれたTRIGGERの作品からは、彼らもまたアニメ(と、それを長年作り上げてきた人々の)ファンであり、アニメ独自の表現を面白がっているのが伝わってくる。 さまざまなアニメに影響を受けて吸収し、並々ならぬ作画へのこだわりを持つ今石洋之や吉成曜といったベテランを中心に、アニメーカーは描く技術を磨く。さらにそこに現代的なデザインセンスであったり、映画、漫画、アメコミなど別ジャンルのものからの影響も取り入れながら、アニメ独自の良さを生かした絵づくりを心がけているスタジオと言える。 しかし、アニメーカーが中心をなすスタジオとはいえ、作画だけでアニメが完成するわけではないし、また、彼らの表現したいことが作画だけで完結できるわけでもない。TRIGGERの手がける作品では、必要に応じて3DCGや新たな映像技術取り入れながら制作が進められている。それには、TRIGGERの会社的な環境、ウルトラスーパーピクチャーズというグループの存在にも注目しておきたい。 ウルトラスーパーピクチャーズとは、オリジナルフル3DCGアニメ「ブブキ・ブランキなどCGによるセルルックアニメーションを特異とするサンジゲンと、それをアニメを越えた枠組みへと展開するギャラクシーグラフィックス。「ブラックロックシューター」「WakeUp,Girls!]を手がけるOrdetに、「アルスラーン戦記」などを制作するライデンフィルム、そしてTRIGGERの5社からなるグループだ。うち、アニメスタジオ4社はそれぞれが得意分野や作風を持つ自立したスタジオであり、その力を必要とする時にはグループ内で協力し合うこともある。 例えば、TRIGGER作品では「キルラキル」の3DCG・撮影、「宇宙パトロールルル子」の撮影のほか、放送中の「リトルウイッチアカデミア」の撮影もサンジゲンが担っている。異なる技能を持った人たちが同じ建物にいるという物理的な近さも、お互いの表現域の拡大や、クオリティの追求につながっていることだろう。 TRIGGERの独自性は絵的な表現にもあるが、スタジオ自ら企画・原作を手がけるというスタイルにもある。映画作品ならいざ知らず、TVアニメの制作において、精力的に原作を手がけるアニメスタジオというのは珍しい。立ち上げからの5年半で、TVシリーズに限っても「キルラキル」「キズナイーバー」「宇宙パトロールルル子」「リトルウイッチアカデミア」と四つものオリジナル作品を世に出している。 その背景には、同じように原作作品を精力的に手がけるGAINAXに在籍し、「天元突破グレンラガン」などのオリジナル作品に携わったメンバーがスタジオの中核を成しているのもあるだろう。 しかし企画・原作からとなると、その世界観、物語、魅力的な登場人物たち…と、描き出さなければいけないことが膨大にあり、時間も労力もかかる。それでもこのスタイルを貫く姿勢は、「自分たちがアニメとして何を打ち出したいか」に対して意識的だと見ることもできるし、作りたいものを作る」という、ただ単純でまっすぐな気持ちを貫いているだけの可能性もある。 いささか真面目な話をしてきたが、彼らの作品を見て感じるのは、まさに「清々しいまでに、思い切ったことを堂々とやっている」ということだ。作画力を磨き、新たな技術も取り入れ、作りたいアニメを考える。そして「自分たちが面白いと思うものを、思いっきりやる」。 SOURCE: 月刊MdN NEW WORDS: 作り手 (tsukurite): maker, builder, creator 背景 (haikei): background, circumstance 手法 (shuhou): technique, method 受け継ぐ (uketsugu): to inherit, to succeed 取り入れる (toriireru): to adopt (idea) 静止画 (seishiga): still
すべての人に求められる「デザイン力」と「伝える力」 私たちが日頃使っているMacには、デザインをしやすい環境が整っています。高品質なフォントがあらかじめ豊富にインストールされていますし、キーノートやページズという、さまざまなデザインに活用できるアップルの純正ソフトもあります。また、Macアップストアには、クリエイティヴを補助する便利で高機能なソフトがたくさん用意されていることも見逃せないポイントです。 しかし、読者の皆さんの中には「デザインなんて、自分には関係ない」と感じている人もいるでしょう。確かに、デザイン系の仕事に従事している人以外は、日頃デザインに真剣に向き合う機会は少ないかもしれません。しかし、デザインの仕事に携わっていなければ、本当に「デザイン力」は必要ないのでしょうか? 例を挙げて説明しましょう。もしあなたが企業の営業部門に勤めているビジネスパーソンなら、自社商品や企画をPRするための企画書や提案書、商品案内を作ることがあるかもしれません。そしてあなたは、商談相手にその商品や企画のことをよく知ってほしいと思うはずです。そのときに、相手への伝わりやすさを左右するのが、デザイン力です。同じ内容でも、紙の上からずらずらと長々しく文章が書かれているのと、文字サイズを変えたり、色を変えたり、配置を工夫したりしたものでは、伝わりやすさがまったく違います。単なる文章の羅列では、何が大切なポイントなのかもわからないし、そもそもその企画書を読みたい気持ちが起きず、相手に何も伝わらない可能性も出てくるのです。 また、ビジネスシーン以外でも、「デザイン力=伝える力」が必要な状況は多く存在します。たとえば、プライベートでお世話になっている人にバースーデーカードを送るとき、お祝いの気持ちや日頃の感謝の気持ちが伝わらなかったら悲しいと思うはずです。「いつもありがとうございます」の一言だって、デザインによってその伝わり方がずいぶん変わってくるのです。 さらにいえば、ほとんどの場合、表現の先には「人を動かしたい」という目的があります。たとえばビジネスの企画書なら、単にどんな企画なのかを相手に理解してもらえば終わりではなく、その企画を受け入れてもらいたいという目的があるはずです。イベント告知ポスターなら、お客さんに来てもらいたいという目的があります。先に挙げたバースデーカードだって、送る相手に幸せな気分になってもらいたいという目的があります。 すなわち、デザイン力とは、制作物を通じて目的につなげていく力だともいえるのです。 こうした前提に立てば、デザインというのは単にきれいだったり、かっこいいものを作ることではありません。人を動かしたり、人の心を動かすという目的を果たせるかどうかが、いいデザインかどうかの分かれ目になります。何かを作るときには、その準備段階として、どんな人に何を伝えたいのか、どんな印象を持ってほしいのか、見た人にどんな行動を起こしてほしいのか、自分の考えをはっきりさせておくことが大切です。 また、いいデザインのためには、ぜひ知っておきたいセオリーがいくつかあります。読みやすい文字の配置だったり、スッキリ見せるための要素の位置関係だったり、印象をコントロールする配色だったりといったものです。この特集では、こうしたセオリーを凝縮して紹介していきます。きっと、ビジネスやプライベートに役立つデザイン力を高めるための近道になるはずです。 ただし、いいデザインを作るためには、こうしたセオリー以外のアイデアも必要になってきます。たとえば、「高級感を感じ取ってもらいたい」ときに、どんなあしらいやパーツが必要なのかは、たくさんの制作物を見て自分の引き出しを増やしていく必要があるでしょう。さらには、目的を果たすためにどんなフレーズを選ぶか、どんなイメージ写真で人の心を掴むかといったことも、広い意味ではデザインだといえます。 「考えることがいっぱいで、なんだか大変な気がしてきた」と思うかもしれませんが、モノを作るというのは、やっぱりワクワクするものです。まずは気楽に、楽しみながら物作りに挑戦していきましょう。あなたにもきっと、相手に伝わる要素なデザインが作れるはずです。 SOURCE: Mac Fan Magazine NEW WORDS: 日頃 (higoro): normally, habitually 整う (totonou): to be ready, to be arranged 高品質 (kouhinshitsu): high quality 活用 (katsuyou): practical use, application 純正 (junsui): genuine, pure 補助 (hojo): assistance, support